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ダブル手帳の障害者読み物

身体障害1級(脳性麻痺)・精神障害3級(発達障害)。文春オンラインなどに執筆しているライターです。多くのヘルパーさんのお陰で、一人暮らしも気付けば10年を超えました。

2018-01-01から1年間の記事一覧

「ぼっちの会」の挫折

この記事は、2018年11月の京都大学NF祭で販売された「サークルクラッシュ同好会会誌7号」に寄稿した文章と基本的に同内容である。 本稿では、私が大学時代に「ぼっち」を支援する活動を行った経験について述べる。加えて、サークルクラッシュ同好会(以下サ…

700円のクリスマスケーキ

「うちは寺だからクリスマスは無い。サンタも来ないよ。」と言われて育った。 そのためだろうか、クリスマスというものを自分の中にうまく位置づけられないまま、気付けば大人になっていた。周りを見渡すと、多くの人々にとってクリスマスというのは一大事で…

障害者から見た「感動ポルノ」について

本稿では、障害者を「感動ポルノ」として消費することへの批判、及びそれに対する反論について検討したい。 「感動ポルノ」とは何か まずはじめに、「感動ポルノ」とは何だろうか。現在ではその定義も拡散しているが、本稿ではこの言葉が人口に膾炙するきっ…

影の主役としての「一見さん」 ーサークラをサークラたらしめるものー

12/13(木)に京都大学サークルクラッシュ同好会(以下サークラ)の定例会に初めて参加した。その感想について二回に分けて記す。前編となる本記事では、例会の居心地の良い雰囲気がいかにして生み出されているかについて考察する。 絶妙な居心地の良さ まず…

相談できる強さ・愚痴を聞ける強さ

過去の記事で、人にものを相談するには相談内容を適切に整理するする技術が必要だと書いたことがある。 double-techou.hatenablog.com しかし、どのような形であれ相談ができるという時点で強者であり、それ以前の所で躓いている人もいるのだと分かってきた…

うおおおおおおおおおおおおおおおおおお

障害福祉サービスの世界には、相談員(介護保険制度におけるケアマネに相当)という人達がいます。先週、相談員の度重なる傍若無人な振る舞いについに堪忍袋の緒が切れ、契約の解除を申し入れました。どのようにやばかったかということを具体的に列挙しても…

寺生まれのDによる浄土真宗の分析

本記事では浄土真宗の教義に対する所感を述べる。 私は真宗寺の生まれなので多少は浄土真宗の教義に精通しているつもりである。ただ、私の父は仕事上僧侶として振舞っていたが実際は共産主義者で宗教など信じていなかったし、私に無理に寺を継がせようともし…

場の乱雑度が一定程度以上になると逆に大丈夫になる話

私は発達障害の中でもかなりアスペルガー傾向が強い方だと思う。また、身体障害が重いため自由に動き回ることが難しい。なので、とにかく乱雑な場を嫌い、整然とした秩序のある場を好んできた。ところが、場の乱雑さが度を超えると逆に居心地が良くなってく…

実名はまだ要らない

前記事でインターネットを介したオフ会のような集まりをホッピングして回っていることを述べた。そこで不思議に思ったのが、同じインターネットのオフ会のような集まりと一口に言っても、ハンドルネーム文化圏の所と実名文化圏の所があるということである。 …

ブラインドの向こう

良く晴れた土曜の昼下がり、大勢の人でごった返す都心の賑やかな通りに面して、その細い雑居ビルはひっそりと建っている。初めて来た時はその狭い入り口をなかなか見つけられず、あたりをしばらくうろついた記憶がある。 エレベーターのドアが閉まると、まる…

自己啓発本に意味はあるか ―カーネギーの著作を全部読んで思ったこと―

きっかけ 私は自己啓発本やビジネス書の類が大嫌いな人間で、それらを一切読んで来なかった。もっと言えば、そういった書物を鵜呑みにする人を「自分の頭で物事を考えられない、自我が無い人」と半ば見下していた。 ところが最近、とても仕事のできる同僚が…

障害者から見たヘルパーさんと介護業界

障害者の生活とヘルパーさんは切っても切れない関係にある。私はかれこれ数年間、毎日3時間以上ヘルパーさんのお世話になってきた。そこで本記事では、介護を受ける障害者から見たヘルパー、居宅介護事業所、居宅介護業界について書いていきたい。 なお、本…

社交辞令を全部真に受けよう

発達障害者にはありがちなことと思うが、私は社交辞令とそうでないものを見分けるのが昔から大の苦手だった。相手の言葉が単なる社交辞令なのか、本心から発せられた言葉なのか、全く分からない。普通の人は相手の言葉の抑揚や身振り、状況などから直観的に…

監視用リスト

嫌いだった奴が落ちぶれている様をSNSで確認するのが好きだった。 私はTwitterを立ち上げ、「監視用」と名付けられた非公開リストを開く。そこには嫌いだった奴らのアカウントがぎっちりと詰め込まれている。私のことを散々見下し、コケにしてきた奴ら。特別…

ブログをやってみて(開始動機、バズ、Twitter広告、今後の方針など)

ブログを始めた動機 私は承認欲求や自己顕示欲が強い反面、他人に対する関心や共感が薄い。また、やりたいことが見つからないという悩みもあった。プログラミングやVtuber活動などにも手を出しかけたが、核となる「やりたいこと」が無いのですぐに挫折して続…

アニメを公共事業にすべき理由 ―公共財としてのアニメ―

ここ十数年、アニメは文化のメインストリームにいる。にも関わらず、アニメ業界が儲かっているという話を聞いたことがない。私の考える理由はシンプルである。つまり、アニメは公共財であるにも関わらず、そのように認識されていないからである。 まず、公共…

自民党議員の下でのインターンシップの思い出

一時期政治家を目指していたこともあり、大学在学時に二カ月ほどとある若手政治家(以下A先生)のインターンシップに参加した。全く知らない世界で色々と面白かったのでその時の体験を書いていきたい。 A先生の人物像 自民党所属の若手都道府県議会議員。…

自伝⑤ぼっち編(大学時代)

私の大学時代を一言で総括すると、与えられたモラトリアムの中で自分のしたいことを探し求め、ついに見つけることができなかった過程と言うことができる。 大学入学当初の私はやる気に満ち溢れていた。大学で人脈を作りまくって脱オタしてリア充になるぞ。そ…

身体障害・精神障害の社会モデルとその違い

私は身体障害と発達障害の両方を持っているが、身体障害者及びその周辺と発達障害者及びその周辺を比べた時、「障害の社会モデル」の考え方の浸透具合が全く違うことに驚かされる。 身体障害者やその周辺(支援者・介護者・行政・医療関係者など)では、「障…

アニメの中の障害者キャラクター

私は重度障害者のアニオタだが、もっと障害者がアニメに何の理由もなく出てくるようになってほしい。そこで、本記事ではアニメにおける障害者キャラの取り扱いについて考察する。 まず、日本のアニメに出てくる障害者のうち、殆どは後天性の障害者である。何…

障害者が簡単に作文コンクールに入賞する方法

私は作文や読書感想文のコンクールで県最優秀賞を三回取ったことがある。ただ、何か中身のあることを書いたわけではない。今読み返してみても寒気がするほど薄っぺらい内容だ。裏を返せば内容が薄くともポイントさえ押さえれば、この種のコンクールにおいて…

キャリア官僚無内定者の官庁訪問狂騒曲

この記事では、関西の大学から国家公務員総合職試験に合格し官庁訪問で全落ちした私が、官庁訪問のことを中心に採用プロセスで印象に残った諸々を書いていきます。 まず、国家総合職試験や官庁訪問のあらましについては総合職試験採用情報|国家公務員試験採…

VRと障害者 ―インターネットを侵食する肉体―

私はVtuberが大好きである。ときのそら、富士葵、もちひよこ、ねこます、芙容セツ子、輝夜月、スズキセシル、つのはねあかぎ…(敬称略) 好きなVtuberの方々は他にも数え切れないほどいるが、私が最も感銘を受けた動画はこれである。 誰もがなりたい自分にな…

障害者雇用率水増し問題に関する戦いの記録

本記事では、障害者雇用率水増し問題に関して私が各所に働きかけた結果をまとめておこうと思う。何か世の中に異議申立てしたいという人の参考になれば嬉しい。 はじめにこの問題についての私の主な主張を再度まとめておく。 私は、官庁訪問を経験した障害者…

重度障害者の民間就活事情

本題に入る前に、先に私のスペックを書いておきます。私は脳性麻痺で身体1級の重度障害者です。脳性麻痺のため、歩くことも、支え無しで立つこともできません。常に電動車いすで移動します。上半身にも麻痺があるため、背筋は湾曲し、右手も自由になりません…

無趣味人間とアイデンティティ

皆さんには趣味がありますか。私にはない。 強いて言うなら読書、アニメ鑑賞、ネットサーフィンをよくやっているが、本当に好きなのかと言われると自信がない。他にやることが無いから惰性でやっているだけのような気がする。同人誌を出したりプログラミング…

身体障害者あるある③一人暮らしするならどの地域か④旅行の難しさ

③一人暮らしするならどの地域か 私は大学進学から今まで一人暮らしをしている。一人暮らしをする時に何よりも重要なことは何か。それは自治体からのひと月当たりの介護サービスの支給時間数である。これが多ければ余裕を持って暮らせるし、少なすぎると最低…

自伝④失恋、東大受験編(高校後半)

前回(下記記事)からの続きである。 double-techou.hatenablog.com 読書や文章を書くことが好きだったので、高校時代は文芸部に入っていた。ここでは小説を書いていたが、そちらの結果は惨憺たるものだった。小説とすら呼べない糞みたいな駄文を生産し、完…

身体障害者あるある①「暴走運転」②落ち物拾いのジレンマ

いきなりタイトルと矛盾したことを書くが、身体障害と一口に言ってもその状態や程度は人それぞれなので、本来は身体障害者あるあるなどというものは書けない。従って、「脳性麻痺の車椅子ユーザー」というカテゴリに絞ったあるあるを書こうと思う。もしその…

障害者雇用率の水増し問題についての主張

中央省庁での障害者雇用率の水増しが明らかになった。実は私は就活時には官僚を目指していて、国家総合職試験、国家一般職試験ともに合格し官庁訪問まで行ったものの、そこで全落ちの憂き目に遭ったのだ。当時の私は、「障害者が国の政策立案の中枢に携われ…