ダブル手帳の障害者読み物

身体障害1級(脳性麻痺)・精神障害3級(発達障害)です。

身体障害者あるある③一人暮らしするならどの地域か④旅行の難しさ

③一人暮らしするならどの地域か

 私は大学進学から今まで一人暮らしをしている。一人暮らしをする時に何よりも重要なことは何か。それは自治体からのひと月当たりの介護サービスの支給時間数である。これが多ければ余裕を持って暮らせるし、少なすぎると最低限の生活すら困難になる。

 一度全国のCIL(障害者自立支援センター)にメールを送って支給時間数の地域的な傾向を調べてみたことがある。その結果は以下のようであった。

  • 大まかな地域別でみると、関東が一番手厚く、関西がそれに続く。逆に北陸、東北は非常に支給量が少ない。
  • 同一都道府県の自治体同士で比較すると、やはり県庁所在地など都市部の方が手厚い。これは、人口が多いと障害者の数も多いため、比較的早い段階から障害者運動が活発に行われてきたためであろう。
  • ただ、田舎の県の県庁所在地などでは、手厚い障害者サービスに惹かれて障害者が一極集中し、自治体の財政を圧迫する結果となったため、反動として一人当たり支給量を絞る動きも一部あるとのこと。

 これらを総合すると、一人暮らしを目指す障害者は、とにかくできるだけ都市部(特に関東、関西)を目指すことが得策と言えるのではないか。実際私も、地元のど田舎にいた時に参考として示された支給量ではとても一人暮らしできる気がせず、不安で仕方なかった。ところが都会に移り住むと、地元で言われていた時間数の数倍の支給が簡単に下りた。それほどまでに地域間格差は大きい。

 また、はっきりとした確証はなく、自治体間の紳士協定のようなものらしいが、障害者が引越しをした際、転入先の自治体は、その人が転出元の自治体で支給されていた時間数をなるべく尊重するという暗黙の了解があるようだ。これは、表向き障害者福祉に大きな地域間格差があってはならず、一貫した考え方の下に支給量が決定されているという建前(実際は全く違うが)からすれば当然のことかもしれない。つまり、一旦関東や関西で支給量をたくさん取っておくことは、その後田舎に引っ越す場合でも有利に働く可能性が高い。これも都会に出ることを推奨する理由である。

 

④旅行の難しさ

 身体介護を受けながら一人暮らしをしている障害者が旅行するのは容易ではない。何故なら、身体介護とは基本的に現住所においてのみ受けることができるサービスであって、制度上、旅行先でヘルパーさんに着替えや入浴をお願いすることはできない*1。必然的に、着替えや入浴を我慢できる一泊二日程度の日程にするか、有償ボランティアに介助を依頼することになる。有償ボランティアに一回入浴介助を依頼すれば、いくら良心的な団体でも数千円の支払いは覚悟する必要がある。もっと問題なのは、こうした団体がほぼ都市部にしかないことである。田舎で温泉に入るなどという楽しみは諦めるしかない。

 田舎に旅行する場合、更に交通の問題が加わる。身体障害者というのは基本的に公共交通機関への依存度が高いが、田舎には無人駅が多い。昔、「true tears」というアニメの聖地巡礼をするために富山県の城端への旅行を計画した。しかしJRに問い合わせたところ「城端駅は無人駅であり、他駅からの応援を回すこともできないので乗降をお手伝いすることはできない」という回答であった。これは実質的に「車椅子での利用お断り」に等しい。結局聖地巡礼自体を断念することになった。今は公的機関による合理的配慮という概念も浸透して多少は状況が変わっている可能性もあるが、田舎に一人旅に行く身体障害者は事前に現地のバリアフリー情報を入念に確認しておくことを強くお勧めする。

 私もいつか全国のアニメの聖地を思う存分巡礼してみたい。

*1:ごく一部の自治体、介護事業所では融通を効かせてくれる場合もあるらしい。