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ダブル手帳の障害者読み物

身体障害1級(脳性麻痺)・精神障害3級(発達障害)。文春オンラインなどに執筆しているライターです。多くのヘルパーさんのお陰で、一人暮らしも気付けば10年を超えました。

2022-01-01から1年間の記事一覧

AIによる意思決定支援システムを用いた人生の選択肢の充実

人生において選択肢は重要だ。 乙武氏は「選択肢を増やそう」をモットーに活動を行ってきた。彼は少数者であっても多くの選択肢を持てる社会を理想とする。これに異を唱える人は少なかろう。以前バリバラでCIL西宮の玉木氏が「障害児は将来の選択肢を非常に…

Twitterスペースで、最近読んだ本を10のテーマ別に紹介します

Twitterスペースを突発的にやります。主な内容は下記の書籍の紹介と感想です。よろしければ是非お越し下さいませ。 10月23日に通信問題等で延期した後、Wifi中継器を導入しました。従って接続への懸念はほぼ消えました。その節は大変申し訳ございません…

短文から小説の断片を自動生成するサイトで遊んだ

任意の文字列を入力すると、その文脈に沿う形で続きの文章を自動生成してくれる「AIのべりすと*1」というサイトがあります。そこに私の過去のツイートを素材として入力してみました。つまり本記事で列挙する文は、全て冒頭(つまり最大140字の範囲内で、文字…

生殖・出生前検査・中絶・出産・養育・虐待の倫理

女性の中絶の権利を認めたロー対ウェイド判決を米連邦最高裁が覆した時、私は驚愕するとともに地獄の釜が開いたと感じた。 先に申し上げておくと、米国で妊娠中の女性は目下悠長な議論どころではない状況だと認識している。立場に関わらず、何よりも優先して…

やまゆり園障害者連続殺傷事件から6年 名前の剥奪と生の否定 匿名の死者を悼むことは可能か

2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者入所施設やまゆり園で連続殺傷事件が発生。19人の命が奪われた。 本稿では問題を1点に絞る。施設・家族会・県・警察・検察・地裁・報道機関等のアクターのいずれからも犠牲者の氏名が明かされなかった結果、6年…

哲学者が障害を引き合いに出す時のこと

各々の哲学者に主張の中身とは別に自問してほしいことがある。人生の意味や存在の良し悪しについて哲学的に議論する際、不幸・苦痛・害悪等の顕著な例として、障害をあまりに引き合いに出し過ぎてはいないだろうか。 前記事で言及した森岡氏の著書*1にも「た…

【目次・概要・関係性】7〜8月頃に投稿する5本の記事について

7〜8月に投稿予定のA・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ(後述)、及び昨日投稿した Ⅰ の記事は緩やかに繋がり1シリーズを構成する。しかし同時に、個々の記事は単体でも成立するよう一話完結型にしてある。従って、興味のあるものだけを(あるいは違う順番で)お読み頂いても何ら…

生まれてきて良かった

「ここじゃ生きられないけどここが好き好きって分かったうれしい」*1 本稿ではべネターの反出生主義*2に私なりに向き合ってみたい。 誰にとっても、この世に生を受けることは、生まれてこないことよりも必ず悪い。生まれてくることは常に害悪であるーー そう…

障害者ラップ

一昨日(6月18日)は京都帝国大学の創立記念日だったそうで、めでたいことです。京大と言えば障害学の一大中心地ですよね。彼らの知的営為にはいつもお世話になっているので、マジリスペクトしています。友人にも何人か在校生やOBが居ます。 そういった事…

障害者と報道機関を巡る問題

【趣旨】 障害者に関する報道を実りあるものにしていくために、障害当事者とマスメディアとの間にどのような課題があるか考察する。 【目下の課題】 ①報道が一過性である(障害者問題に限った話ではないが) 少しでも初報から日にちが開くと、もはや重要な続…

障害関係の良記事まとめ(The New York Times)

ニューヨークタイムズの障害者に関係する記事の中で特に優れていると感じたものをご紹介します。 各記事は本稿のリンクからどなたでも読めるようにほぼ常に保っておきます*1。 《《記事①》》 【要約】筆者は聴覚障害者。過去約10年にわたり、周囲の無数の人…

Spaceでやれたら良いなと思うこと

いつも大変お世話になっております。 タイトルの件ですが、私がやりたいと思っている配信には定期と不定期の2種類があります。 まず前者の説明をします。「明日キックオフ的なことをして、そこで上手く行けば継続したい」と思っているのは前者のほうだから…

自己再定義と今後の抱負

本記事は私事の断片的な列挙も多く、滑らかな文でないことをご容赦願いたい。 ・感謝 世界は無秩序で不条理だと思い知らされた旨を前記事で述べた。しかしそれを強く認識すればするほど、その中にあっても存在する「良さ」の稀少性を痛感し、逆説的だが世界…

不条理な惨事が身近に起きた際の世界把握の変容について

(前記事からのつづき) 件の病院への放火事件の影響で文章が全く書けない時期が続いた。理由の中心を占めたのは公正世界仮説の崩壊である。 公正世界仮説とは概ね「善行や努力は幸福により報われ、悪行や怠惰は不幸により罰せられる、世界は正しく因果応報…

通院先での放火殺人事件の後に考えたこと

西梅田こころとからだのクリニックへの放火事件で亡くなられた26名の方々に哀悼の意を表します。 ※※※※ 事件後は喜び・希望・価値観を悉く見失い、ずっと見知らぬ世界にいる感じだ。だがその間も容赦なく時は経ち、昨日で早くも百箇日となった。 もちろん忌日…