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ダブル手帳の障害者読み物

身体障害1級(脳性麻痺)・精神障害3級(発達障害)。文春オンラインなどに執筆しているライターです。多くのヘルパーさんのお陰で、一人暮らしも気付けば10年を超えました。

身体障害

自己再定義と今後の抱負

本記事は私事の断片的な列挙も多く、滑らかな文でないことをご容赦願いたい。 ・感謝 世界は無秩序で不条理だと思い知らされた旨を前記事で述べた。しかしそれを強く認識すればするほど、その中にあっても存在する「良さ」の稀少性を痛感し、逆説的だが世界…

映画『愛について語るときにイケダの語ること』のレビューの補足

映画『愛について語るときにイケダの語ること』のレビューを文春オンラインに書きました。 bunshun.jp 上記記事に書き切れなかった部分を以下に補足させていただきます。主に映画としてのテクニック面の特徴に光を当てています。 一人の人間をいかに丸ごと複…

入力と出力を繋ぐモノ ~自動運転車には車椅子で乗れるのか?~

労働移動のコスト いつの時代にも斜陽産業と成長産業がある。前者は人手が余り、後者は人手不足になる。近代経済学の理論上は、労働市場の働きによって前者から後者へと自然に労働者が移動することになっている。 だが、当然ながら現実はそう単純にはいかな…

令和は純愛の時代である

令和は純愛の時代である。 アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』のレビューを文春オンラインに書かせていただいた。 bunshun.jp youtu.be 本稿は上記記事を補足する内容であり、本作及び『ジョゼ』の他のバージョンのネタバレを含む。 ◆執筆過程 思えばこの2ヶ…

【政治学の第0歩】文春オンラインの記事(5/31)の補足

以下の通り文春オンラインで記事を出させていただきました。 「この国はどうなっているのか」新型コロナで政治づきはじめたマジョリティに、障害者の私が言いたいこと 「今更?」という苛立ちの声も散見されるが…… 「政治か」と身構える方が多いかもしれませ…

文春オンラインに24時間テレビや感動ポルノについての記事を執筆しました

文春オンライン様に記事を書かせていただきました(二回目) bunshun.jp このブログと若干重複する内容も含まれますが、大幅に加筆修正して新しく発展した形にできたと思います。ですので、いつも支えて下さっている読者の皆様にも是非ご覧いただきたいです…

文春オンラインに執筆した記事とその補足

文春オンライン様に記事を書かせていただきました。 bunshun.jp 執筆依頼を下さった文春オンライン様はもちろんのこと、こんな未熟者をライターとしてのオファーが来るまでに育てて下さったこのブログの読者の方々には感謝しかありません。今回のことは皆様…

障害者から見た「感動ポルノ」について

本稿では、障害者を「感動ポルノ」として消費することへの批判、及びそれに対する反論について検討したい。 「感動ポルノ」とは何か まずはじめに、「感動ポルノ」とは何だろうか。現在ではその定義も拡散しているが、本稿ではこの言葉が人口に膾炙するきっ…

うおおおおおおおおおおおおおおおおおお

障害福祉サービスの世界には、相談員(介護保険制度におけるケアマネに相当)という人達がいます。先週、相談員の度重なる傍若無人な振る舞いについに堪忍袋の緒が切れ、契約の解除を申し入れました。どのようにやばかったかということを具体的に列挙しても…

障害者から見たヘルパーさんと介護業界

障害者の生活とヘルパーさんは切っても切れない関係にある。私はかれこれ数年間、毎日3時間以上ヘルパーさんのお世話になってきた。そこで本記事では、介護を受ける障害者から見たヘルパー、居宅介護事業所、居宅介護業界について書いていきたい。 なお、本…

身体障害・精神障害の社会モデルとその違い

私は身体障害と発達障害の両方を持っているが、身体障害者及びその周辺と発達障害者及びその周辺を比べた時、「障害の社会モデル」の考え方の浸透具合が全く違うことに驚かされる。 身体障害者やその周辺(支援者・介護者・行政・医療関係者など)では、「障…

アニメの中の障害者キャラクター

私は重度障害者のアニオタだが、もっと障害者がアニメに何の理由もなく出てくるようになってほしい。そこで、本記事ではアニメにおける障害者キャラの取り扱いについて考察する。 まず、日本のアニメに出てくる障害者のうち、殆どは後天性の障害者である。何…

障害者が簡単に作文コンクールに入賞する方法

私は作文や読書感想文のコンクールで県最優秀賞を三回取ったことがある。ただ、何か中身のあることを書いたわけではない。今読み返してみても寒気がするほど薄っぺらい内容だ。裏を返せば内容が薄くともポイントさえ押さえれば、この種のコンクールにおいて…

VRと障害者 ―インターネットを侵食する肉体―

私はVtuberが大好きである。ときのそら、富士葵、もちひよこ、ねこます、芙容セツ子、輝夜月、スズキセシル、つのはねあかぎ…(敬称略) 好きなVtuberの方々は他にも数え切れないほどいるが、私が最も感銘を受けた動画はこれである。 誰もがなりたい自分にな…

障害者雇用率水増し問題に関する戦いの記録

本記事では、障害者雇用率水増し問題に関して私が各所に働きかけた結果をまとめておこうと思う。何か世の中に異議申立てしたいという人の参考になれば嬉しい。 はじめにこの問題についての私の主な主張を再度まとめておく。 私は、官庁訪問を経験した障害者…

重度障害者の民間就活事情

本題に入る前に、先に私のスペックを書いておきます。私は脳性麻痺で身体1級の重度障害者です。脳性麻痺のため、歩くことも、支え無しで立つこともできません。常に電動車いすで移動します。上半身にも麻痺があるため、背筋は湾曲し、右手も自由になりません…

身体障害者あるある③一人暮らしするならどの地域か④旅行の難しさ

③一人暮らしするならどの地域か 私は大学進学から今まで一人暮らしをしている。一人暮らしをする時に何よりも重要なことは何か。それは自治体からのひと月当たりの介護サービスの支給時間数である。これが多ければ余裕を持って暮らせるし、少なすぎると最低…

身体障害者あるある①「暴走運転」②落ち物拾いのジレンマ

いきなりタイトルと矛盾したことを書くが、身体障害と一口に言ってもその状態や程度は人それぞれなので、本来は身体障害者あるあるなどというものは書けない。従って、「脳性麻痺の車椅子ユーザー」というカテゴリに絞ったあるあるを書こうと思う。もしその…

障害者雇用率の水増し問題についての主張

中央省庁での障害者雇用率の水増しが明らかになった。実は私は就活時には官僚を目指していて、国家総合職試験、国家一般職試験ともに合格し官庁訪問まで行ったものの、そこで全落ちの憂き目に遭ったのだ。当時の私は、「障害者が国の政策立案の中枢に携われ…

自伝②決別・オタク・排泄編(中学生時代)

前回(下記記事)からの続きである。 double-techou.hatenablog.com 中学校に上がってから劇的に人生がマシになった。 まず、異常な介助員から解放されたことが大きい。また、電動車椅子に乗っても良い年齢となり、自力で移動ができるようになった。移動の際…

自伝①地獄編(小学校卒業まで)

私は小さな真宗寺の長男として生まれました。 脳性麻痺のため、歩くことも、支え無しで立つこともできません。上半身にも麻痺があるため、背筋は湾曲し、右手も自由になりません。 両親はそうした現実が受け入れられなかったのでしょう。不幸にも、ドーマン…

「障害者が住みやすい社会は皆が住みやすい社会」は本当か

障害者福祉や合理的配慮を推進する際の根拠として「障害者が住みやすい社会は皆が住みやすい社会」ということがよく言われる。しかし、これは本当だろうか。また、仮にそうでないとすれば障害者が住みやすい社会を作ることの根拠はどこに求めればよいのか。…