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ダブル手帳の障害者読み物

身体障害1級(脳性麻痺)・精神障害3級(発達障害)。文春オンラインなどに執筆しているライターです。多くのヘルパーさんのお陰で、一人暮らしも気付けば10年を超えました。

Spaceでやれたら良いなと思うこと

いつも大変お世話になっております。 タイトルの件ですが、私がやりたいと思っている配信には定期と不定期の2種類があります。 まず前者の説明をします。「明日キックオフ的なことをして、そこで上手く行けば継続したい」と思っているのは前者のほうだから…

自己再定義と今後の抱負

本記事は私事の断片的な列挙も多く、滑らかな文でないことをご容赦願いたい。 ・感謝 世界は無秩序で不条理だと思い知らされた旨を前記事で述べた。しかしそれを強く認識すればするほど、その中にあっても存在する「良さ」の稀少性を痛感し、逆説的だが世界…

不条理な惨事が身近に起きた際の世界把握の変容について

(前記事からのつづき) 件の病院への放火事件の影響で文章が全く書けない時期が続いた。理由の中心を占めたのは公正世界仮説の崩壊である。 公正世界仮説とは概ね「善行や努力は幸福により報われ、悪行や怠惰は不幸により罰せられる、世界は正しく因果応報…

通院先での放火殺人事件の後に考えたこと

西梅田こころとからだのクリニックへの放火事件で亡くなられた26名の方々に哀悼の意を表します。 ※※※※ 事件後は喜び・希望・価値観を悉く見失い、ずっと見知らぬ世界にいる感じだ。だがその間も容赦なく時は経ち、昨日で早くも百箇日となった。 もちろん忌日…

障害者と広告 無料Web媒体から社会問題が消える日

【障害者の日によせて】 障害が社会との関係の中で生ずるものならば、「社会から存在を忘れられる」「主語となる力を奪われる」といった傾向や困難さも障害の一部と言えるでしょう。従って、障害者週間が一定の注目や発言の機会を生むことの意義は大きく率直…

映画『愛について語るときにイケダの語ること』のレビューの補足

映画『愛について語るときにイケダの語ること』のレビューを文春オンラインに書きました。 bunshun.jp 上記記事に書き切れなかった部分を以下に補足させていただきます。主に映画としてのテクニック面の特徴に光を当てています。 一人の人間をいかに丸ごと複…

障害者として生きる上での日本社会の良さ=人口の多さ

重度障害者である私が日本社会でそこそこ自由気儘に楽しく生きてこれたのは、単に物質的豊かさや福祉制度だけのおかげではない。社会の中に、ロールモデルとなるような傑出した障害者の先達や同輩が複数人存在し、更に、居場所となる種々様々なコミュニティ…

障害者と左派加速主義者が出会うべき理由

本稿は、私がある哲学者に宛てたメールを和訳・要約・加筆修正したものである。 "The accelerationist left"(左派加速主義者)には、テクノロジーが持つ力を高く評価する楽観的な側面と、「なればこそ、それがより良い作用をもたらすようにコントロールしつ…

「能力」の攪拌と『障害者』の解放 能力回転主義宣言

障害者の立場から能力について考えました。2万7千字あります。

入力と出力を繋ぐモノ ~自動運転車には車椅子で乗れるのか?~

労働移動のコスト いつの時代にも斜陽産業と成長産業がある。前者は人手が余り、後者は人手不足になる。近代経済学の理論上は、労働市場の働きによって前者から後者へと自然に労働者が移動することになっている。 だが、当然ながら現実はそう単純にはいかな…

令和は純愛の時代である

令和は純愛の時代である。 アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』のレビューを文春オンラインに書かせていただいた。 bunshun.jp youtu.be 本稿は上記記事を補足する内容であり、本作及び『ジョゼ』の他のバージョンのネタバレを含む。 ◆執筆過程 思えばこの2ヶ…

歴史に学ぶ難しさ 「ポル・ポトは運が悪かっただけ」にどう反論するか?

摘要 歴史は全て一回性の固有のものであり再現性が無い。それ故に、歴史から引き出した教訓や法則性を現代や未来の社会像についての議論に敷衍する際、我々はその射程の限界にもっと自覚的かつ慎重であるべきだ。「歴史に学ぶ」というのは決して簡単なことで…

暴力試論 ~車椅子を背後から転倒させて蹴るという行為について~

不完全燃焼なんだよ意思表示なら手短かにやれよプロセスと結末にもう愛想つかされてるみたいだ*1 本稿では、制度化されていない「殴る・蹴る」といった狭義の「暴力」が、個人間の関係においてどのような意味を持つのかに絞って考察していきたい。 拡張され…

比喩表現とその活用

比喩表現の性質 『響け! ユーフォニアム』に登場する吹奏楽器を男根のメタファー(隠喩)とみなす意見*1と、それに対する猛反発が過去にあった。そうした経緯から、「○○は△△のメタファーだ」という言説に警戒する向きが強いのは無理もない。 ただし、自分な…

障害者の人生の選択肢 ――乙武洋匡氏取材後記――

いつもお世話になります。 下記の通り文春オンラインに乙武洋匡氏へのインタビュー記事を掲載させていただきました。今回は今まで以上に手応えがあります。どうかお読みください。お願いします。 #1(前編) bunshun.jp #2(中編) bunshun.jp #3(後…