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ダブル手帳の障害者読み物

身体障害1級(脳性麻痺)・精神障害3級(発達障害)。文春オンラインなどに執筆しているライターです。多くのヘルパーさんのお陰で、一人暮らしも気付けば10年を超えました。

【政治学の第0歩】文春オンラインの記事(5/31)の補足

 以下の通り文春オンラインで記事を出させていただきました。

「この国はどうなっているのか」新型コロナで政治づきはじめたマジョリティに、障害者の私が言いたいこと 「今更?」という苛立ちの声も散見されるが……

 「政治か」と身構える方が多いかもしれません。しかし政治という言葉から一般に想像されるような、永田町の複雑怪奇な動き、特定の政治勢力への毀誉褒貶、政治と行政の違い、カールシュミットの友敵理論、などの話は敢えてしておりません。これらはこれらで大切ですが、一番大切なことではないと思うからです。むしろこうした「政治の言葉」を使わずに政治を語ることに限界まで挑戦しました。「政治」が嫌いな人も含め、是非お読みいただければ幸いです。

 

 以下では紙幅や記事全体の趣旨との関係で入れることができなかったことを思うままに箇条書きで列挙していきます。

 政治学の良書

 上記記事では政治を生活に即して考えることの重要性を述べています。

 一方で、学問としての政治の仕組みを学ぶことも、党派性を排してより良い政治について考える上では、とても重要なことです。

 私の記事で政治に少しでも興味を持たれた方におすすめなのが下記の本です。

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)

 

 私は砂原庸介先生( @sunaharay )が大阪大学に在籍しておられた時の講義をとっており、その時の教科書がこれでした。決して奇を衒わず極めてオーソドックスで体系立った内容にも関わらず、大変面白くてためになるという素晴らしい本です。卒業して何年も経った今も大切に保管しています。何しろ学部生向けの本ですから本当に分かりやすい。予備知識ゼロで読めます。砂原先生は講義や質問への応対もとても丁寧で、大学で教わった中では数少ない、尊敬する先生の一人です。

 生活上のなにげない行為の政治的効果

 生活上のあらゆる行為は社会的な何らかの価値観や世界観を支持・強化・再生産することにほかならず、またそれは、その行為を行う能力を持たない人々との差異をより明確にする効果を持ちます。ブルデューの「ハビトゥス」という概念がこれに近いと思います。

 政治家に対する適切なリスペクト

 これは大事だと思います。下から上への崇拝ではなく対等な有権者としての尊敬です。

 もちろんこの国の政治や制度を形作ってきた主権者は国民ですが、それは私たちの目に見えない部分も含めた、政治家の方々の膨大なハードワークの賜物であることもまた事実です。

 人格や政策や能力は人によりけりですが、決して割に合わない仕事をあえて引き受けようとする利他的な精神は、私には決して真似できません。与党/野党、右派/左派問わず、基本的に私はその一点において全ての政治家を尊敬しています。

政治と行政の違い

 当然、政治と行政は厳密には別のものです。しかし私は、木村英子参議院議員が新幹線や多目的トイレの問題を一気に前進させたのを見て、両者は密接に結びついていると考えるようになりました。従って、上記の記事では政治と行政・制度をあえて区別せず論じています。ご容赦下さい。

今後の動き

 最近ブログが滞っており申し訳ございません。

 ただ、文春さんのお仕事以外でもやりたいことやアイデアは山ほどあります。少なくとも6月中には、こちらのほうでも何らかの動きをお見せできるのではないかと思います。英語版ブログも試験的に始動しました。
 改めて、ブログを読んで下さっている皆様に深く感謝申し上げます。また、今後とも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 お読みいただきありがとうございました!